2018年2月25日開催 英語「翻訳者への道」対談 アフターレポート

  • 2018.05.09 Wednesday
  • 12:05

第1部「翻訳者への道」の最後は、パート1、パート2に登壇された成瀬先生と長島先生の対談が行われました。トピックは、産業翻訳と出版翻訳の違いや、仕事をする上での年齢制限はあるのかなど。当日の内容を一部ご紹介します。
 

パート3:成瀬先生×長島先生 対談!産業翻訳と出版翻訳の魅力

 

 

長島:まずは、産業翻訳と出版翻訳の違いについて。受講生の方によく聞かれるんですよ、「自分はどっちに向いているのか」と。この質問を受けた時、成瀬先生はどのように答えられていますか?

 

成瀬:財務諸表をよく知らないある受講生が居て、授業の3回目くらいの時に、転科を勧めたことがありました。「あなたはとても文章のセンスがあるから、こっち(産業翻訳)じゃなくて、長島先生の方(出版翻訳)に行った方が伸びますよ」って言って。後から聞いたら、彼女はその時非常に腹が立ったそうです。「捨てられた」「見限られた」と思ったらしくて(笑)。そこから、こいつを見返してやろうと思ったそうです。1年猛勉強したら、財務諸表すらすら読めるようになってましたね。「先生、二度と眼鏡違いをしてはいけませんよ」と言われました。というわけで、正直どちらに向いているかは分からないですね。

 

長島:私は、成瀬先生がパート1で仰っていたように、「やる気次第」だと思うんですよね。どちらに向いているかというより、どちらに興味を持って本気で勉強できるかを考えて選んでいただきたい。たとえば、「私は金融大嫌いです、勉強する気ありません」という人。それは私なんですけど(笑)、産業翻訳のクラスに行っても、半年しか続かないでしょう。だって興味ないんですもの。だけれども、興味を持てるようだったら本気で勉強する。それなら、今は何も知識がなくても続くと思います。

 

成瀬:両方できるっていうスーパーマンもたまにいますね。

 

長島:いますね。実際サイマルで講師をしていますから、会いに来てください。あと、勉強を始める年齢に制限はあるか、いつまで現役を続けられるか。これに関してはどう思いますか?

 

成瀬年齢は関係ないですね。スキルに関して言えば、ぐんぐん若竹みたいに伸びる人や、少しずつ伸びる人など伸び方に差はありますが、間違いなく伸びます。一番困るのは、「1年で翻訳者になれますか?」という質問。そういう人もいるし、3年かかる人もいるし、それはその人次第ですね。

 

長島:いずれにしても、勉強を始める年齢に制限はないですよね。

 

成瀬:はい。実際、定年退職してからサイマルに通学する方は多いですね。

 

長島:多いですね。「定年退職して時間ができたので、かねてから興味があった翻訳を勉強したいと思って受講しました」という方。しかも、経験豊富、知識もあるから、早い方だと1年から1年半くらいでプロになる方もいますね。いつまで現役を続けられるかについてはどうですか。

 

成瀬:私は少なくとも90歳まではやるつもりです。今63歳なんですけど、駆け出しだと思っていて、75歳くらいがピークなのかなと。まだまだ勉強することが尽きないので。

 

長島はい、頑張ってください。

 

成瀬:なんでそんなに冷たいんですか(笑)?

 

長島:定年はないと思います。気力のある限りだと思います。体力も必要だと思いますけどね。

 

成瀬:そう、体力。体力は本当に使いますね。

 

長島パート2で触れた菊池光は、亡くなる直前の85歳まで現役でした。翻訳という仕事が生きがいだからできたんだと今は思います。

 

成瀬:何歳までという発想はいらないと思います。生きてる限り現役

 

長島:同感です。先程パート1でもありましたが、翻訳業の将来についてはどうでしょう。自動翻訳やAI、今後の需要はどうなるのか。ご心配されている方も多いと思います。そのあたりはどうですか?

 

成瀬:産業翻訳に関していえば、激変期です。人工知能を使った翻訳が8割、残りの2割が人間翻訳で、それはこれからも変わらないと思います。今の翻訳事業の7~8割はなくなるんでしょうね。本当にできる人だけが残っていく

 

長島:出版翻訳でいうと、自動翻訳は全く使われていません。ですから、10年、20年は仕事があると信じています。ただ、自動翻訳もこれからどんどん良くはなっていきますよね。そのときに、自動翻訳と同等の翻訳しかできない翻訳者は淘汰されると思います。だって、安くできますから。人間にしかできない「心の翻訳」ができる人だけが残る。ただそのためには、それだけの力をつけなくてはいけない。ということで、サイマルで勉強しましょう(笑)!

 

成瀬:今の翻訳者が圧倒的に弱いのは、日本語の文章力ですね。

 

長島:英語のレベルが高い人は増えているんですよね。それに反して、特に日本語の文章力が下がっているのは、受講生の課題の訳文を見ていても時折感じますね。

 

成瀬:魅力のある良い文章を書いていただきたい。産業翻訳にとってはマストです。

 

長島:たまに、自分は文章力がないから産業翻訳をやりたいという人がいますが、それは間違いです。ノンフィクションでも産業翻訳でも、文章力は必要です。今後さらにレベルの高い翻訳が求められることを考えると、文章力を磨くというのはこれからますます重要になってくると思います。

 

成瀬:産業翻訳では、日英翻訳のニーズも高いです。英語が書けるというのはとても大事な能力で、英語がきちんと書けると、日本語もそれにひっぱられるんですね。だから日英翻訳もこれから頑張ってください。英日、日英どちらもできないと、産業翻訳の場合は生き残っていけないと思います。

 

長島:ひとつ聞きたいことがあるんだけど、翻訳をしていて、一番うれしいことは?少し明るい話題にしたいと思って。

 

成瀬:それは・・なんだろう。やってること自体ハッピーというか。長島さんも言ったけど、好きなんですよね。だから苦しくても毎日楽しいというか。

 

長島:うん。そうよね。菊池先生のこんなエピソードがあって。80歳過ぎた頃に、早川書房の編集者から「先生次はこんな本です」って新しい原書を渡されたんですけど、その時先生が、わーいわーいって手を挙げて喜んだのを見て、びっくりしました。100冊も200冊も訳してきた人が、また新しい本を受け取って、手を挙げて喜ぶなんてと思ったんですが、それほど好きだったんでしょうね。私はというと、自分の訳した作品を読んだ人が、ぞっとしたり怖がったり楽しんだり笑ったり泣いたり、そういう風にしてるかもしれないと思うと、本当に嬉しくなります。特に小説翻訳だと夢みたいなところがあって、このシーンでもしかしたら泣いてくれてるかな、と想像しながら訳すのが楽しいですね。

 

成瀬:お互い「楽しい」って言い合ってますね(笑)。

 

長島:はい(笑)。とにかく、翻訳が好きということですね。

 


将来的にますます質の高い翻訳が求められることの現実と厳しさが伺えた一方で、本人次第で生涯翻訳者として仕事をしていく力を身につけられるということと、お2人の翻訳が好きだという気持ちが伝わった対談となりました。当日お越しいただいたみなさま、ありがとうございました!

 

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